日本語能力試験対策 その4:読解(全4回)

本コラムはワークショップで使用したふりがな付きスライドを基に書かれたものです。ワークショップでは、英語による補足もありましたが、JLPTのN3を受験する人が読む場合は難しい漢字もあります。AI翻訳などを使って読んでみてください。

こんにちは、日本語イベント担当のTAです。

今回はJLPT N3の読解部分について説明したいと思います。N3の読解試験では、文章の内容理解と情報の抽出能力が試されます。問題の種類は主に以下の通りです:

問題種類とその特徴

  1. 内容理解問題(短文、中文、長文)
    • 記事や対話文を読み、内容に基づいた質問に答えるタイプです。
  2. 情報検索問題
    • 短い文章や広告、案内から特定の情報を探し出す問題です。

対策法

内容理解問題に対する対策

  • 長文読解の練習: 定期的にニュース記事や短いエッセイを読むことで、幅広いトピックに慣れ親しむことが大切です。特に、主旨をつかむ練習を重ねることが効果的です。
  • 要約スキルの強化: 読んだ内容を自分の言葉で簡潔に要約する練習をしましょう。これにより、重要な情報の抽出能力が向上します。

情報検索問題に対する対策

  • スキャニング技術の向上: 文章から必要な情報を迅速に見つけ出す訓練をします。日々の学習で、メニューやスケジュール表などの実用的な文書を使って練習しましょう。

日常からの練習

  • 定期的な読書: 特に小説や専門書ではなく、日本の新聞や雑誌を読むことで、現代の表現や用語に触れることができます。
  • 語彙力の強化: 日常会話やビジネスシーンで頻繁に使用される語彙に焦点を当て、積極的に覚えることが重要です。語彙力が増すと、読解速度と理解度が向上します。
  • 模擬試験の実施:読解問題は一定の時間内で情報の収集・理解を試す試験ですので、規定時間で実際に問題を模擬練習することも大切です。定期的に模擬試験を練習し、自分のリーディングスピードを確認したり、読解問題を解くスキルを把握したりすることができると思います。

これらの対策を実施することで、N3読解試験における様々な問題に効果的に対応できるようになります。日々の学習と実践を通じて、読解力を着実に高めていきましょう。

これまでにJLPT N3の語彙・文法・聴解・読解という4つの部分について解説しましたが、皆さんの受験対策に役立てば幸いです。試験問題や対策法への理解はもちろん重要ですが、自分に適する計画を立ち、それに沿って日々の練習の積み重ねは最も不可欠だと思います。これらの対策法を日々の練習に生かしていただいて、N3試験で良い結果を収めることを願っております。

以上がN3対策の読解部分の紹介でした。他の回では、語彙、文法、聴解の対策を紹介しています。ぜひ合わせて活用してみてください。

これまでのコラム:

https://plaza.cme.osaka-u.ac.jp/2025/06/06/eesay19/ ‎

https://plaza.cme.osaka-u.ac.jp/2025/06/06/eesay20/ ‎

https://plaza.cme.osaka-u.ac.jp/2025/06/06/eesay21/ ‎

日本語能力試験対策N3対策 その3:聴解(全4回)

本コラムはワークショップで使用したふりがな付きスライドを基に書かれたものです。ワークショップでは、英語による補足もありましたが、JLPTのN3を受験する人が読む場合は難しい漢字もあります。AI翻訳などを使って読んでみてください。

こんにちは、日本語イベント担当のTAです。

今回はJLPT N3の聴解部分について説明したいと思います。N3の聴解部分には5種類の問題があります。それは、課題理解問題、ポイント理解問題、概要理解問題、即時応答問題、そして統合理解問題です。以下では、まずそれぞれの問題例、解答の流れ、及び対策法を紹介します。

問題の種類とその流れ:

課題理解問題:質問を聞く→話を聞く→用紙の選択肢を見る

 この問題は、特定の課題についての会話の内容を理解し、正確な答えを選ぶ能力を測ります。効果的な対策としては、日常的な会話やニュース放送を聴く練習を積むことが重要です。また、具体的な情報をメモする練習をして、聴いた内容を素早く整理し、正確に覚える技術を養いましょう。

ポイント理解問題:質問を聞く→用紙の選択肢を見る→話を聞く

 ここでは、話の特定のポイントや詳細を捉えることが求められます。このタイプの問題に対処するためには、事前に質問を理解しておくことが肝心です。その上で、話のキーワードや重要な情報に注目して聞くことがポイントです。実際の会話やオーディオブックでリスニングの実践を重ねることで、集中力と情報の抽出能力を高めましょう。

概要理解問題:話を聞く→質問を聞く→選択肢を聞く

 話の全体的な流れや概要を掴むことが必要です。この問題には、広範な聴解力が求められるため、さまざまなトピックに関するオーディオ素材を聴き、主要なアイデアやテーマを速記する練習を行います。また、話の進行を追いながら主題や意図を予測する練習も効果的です。

即時応答問題:文を聞く→返事(選択肢)を聞く

 短い会話や質問に対して、適切な返答を選ぶ力を試されます。ここでは、日常会話でよく使われる表現やフレーズを習得し、即座に反応する訓練が必要です。友人や言語交換パートナーとのロールプレイを通じて、自然な会話の流れで返答する練習を積むことがおすすめです。

統合理解問題:話を聞く→質問を聞く→選択肢を聞く/見る

 複数の会話や情報から、関連するデータを統合し、適切な解答を導き出す問題です。この種の問題に対する最良の対策は、長めのオーディオ素材やポッドキャストを聴き、主要な情報を要約する技術を磨くことです。また、異なる情報源から情報を整理し、関連付ける練習を行うことが効果的です。

以上の問題種類による異なる対策法の他、日常的な練習方法を取り入れることは、JLPT N3聴解試験において非常に効果的です。さらに、以下の対策を強化することを提案します:

日常的な会話への慣れ:

  • 日本のラジオ番組やポッドキャストを聴く 日常会話だけでなく、少しフォーマルな話題にも触れることができます。様々なアクセントや表現に慣れることができるため、聴解力の向上に直接役立ちます。
  • 言語交換パートナーとの実践 実際に日本人と会話をすることで、リアルタイムでの反応力や理解力を鍛えることが可能です。また、実際の会話の中で生じる自然なフィラーや言い回しにも慣れることができます。

メモ取りのスキルアップ

  • 要点のみをメモする練習: 長文を聞きながら重要なキーワードやフレーズを抜き出す練習を行います。これは、特に統合理解問題で役立ちます。
  • 聴解トレーニング中のシャドーイング: 聞いた内容をそのまま繰り返し話すことで、聞いた情報の即時処理能力を高めることができます。また、このプロセスで重要な情報を自然と覚えることができます。

これらの練習方法を日常生活に取り入れることで、N3聴解試験の各セクションに対応するスキルが自然と身につきます。聴解能力の向上は、言語の習得において非常に重要な要素であり、実生活でのコミュニケーション能力向上にも直結します。

 以上がN3対策の聴解部分の紹介でした。他の回では、語彙、文法、読解の対策を紹介しています。ぜひ合わせて活用してみてください。

次回: https://plaza.cme.osaka-u.ac.jp/2025/06/06/eesay22

日本語能力試験N3対策 その2:文法(全4回)

本コラムはワークショップで使用したふりがな付きスライドを基に書かれたものです。ワークショップでは、英語による補足もありましたが、JLPTのN3を受験する人が読む場合は難しい漢字もあります。AI翻訳などを使って読んでみてください。

こんにちは、日本語イベント担当のTAです。

今回はJLPT N3の文法部分について説明したいと思います。N3の文法部分には3種類の問題があります。それは、選択問題、入れ替え問題、そして補充問題です。以下では、まずそれぞれの問題例を紹介し、その後、対策法とおすすめの文法サイトを取り上げます。

まずは文法問題の部分にどのような問題種類があるのかをみていきましょう。それぞれ問題例を一つ挙げており、N3文法の難易度についても簡単に認識しましょう。

【問題例】

選択問題

・問題1:文を理解し、最もいいものを選びなさい(13問)

問題1:今のわたしの安い給料では、何年いても自分の家は(              )そうもない。

  1買い 2買え  3買う 4買える

 (正解:1)

V (ます形)ます + そうにない:できる可能性が低いことを表します。話し手が状況から判断する場合で使われます。

入れ替え問題

・問題2:文の順番を選び、★に入れるものを選びなさい(5問)

問題2:あの博物館は曜日  ___ ___   ★   ___  窓口で確認したほうがいいよ。

1閉まる時間 2違うから 3によって 4が

 (正解:4)

補充問題

・問題3:文章を読んで、空欄に最もいいものを選びなさい(5問)

問題3:東京に来て、電車を使う人がとても多いのにびっくりしました。ラッシュアワーは、駅も電車も本当に混雑しています。最初は、人が多くて大変なのに、なぜみんなが電車を使おうとするのか不思議でした。しかし、東京に来て2か月たって、その理由が____。 

1 わかって くるはずです    2 わかって いくそうです

3  わかって きました      4 わかって いったようです

 (正解:3)

次は文法問題に対する受験対策を紹介したいと思います。

【対策法】

参考書や問題集を活用して、文法の基礎を固める

初めに、N3レベルの文法を網羅的に学べる参考書を使って基礎を学びます。例として、『みんなの日本語中級』や『新完全マスター文法N3』などがおすすめです。また、参考書で勉強する際に、各文法項目に対する例文を理解し、自分でも同じ形式の文を作る練習をしましょう。

問題形式に慣れる

選択問題対策……助詞や助動詞など、正確な文法知識を問われる問題が多いです。似た文法を比較しながら学習することで、選択肢に迷いにくくなります。

入れ替え問題対策……語順を学ぶために、文の構造を意識して勉強します。文章を分解して順番を考える練習を行いましょう。

補充問題対策……文脈を読む力が必要です。長めの文章を読んで文脈をつかむ練習をすることが有効です。

毎日少しずつ練習する

文法学習を継続するために、1日に3~5つの文法項目を復習する習慣をつけましょう。気軽に継続的な学習を進めるためには、オンラインツールの活用がおすすめです。以下では、「日本語NET」という日本語学習サイトを紹介します。

【文法サイト紹介】

日本語NET「文法」https://nihongokyoshi-net.com/jlpt-grammars/

日本語NET「文法」は、JLPTに登場する文型を紹介するサイトです。文法項目を50音順で並べていて、そして絞り込み検索機能も備えていて、文法の勉強にとても便利だと思います。

さらに、各文型において、「意味とその英訳」・「接続」・「例文とその英訳」・「類似文型」・「類似文型との使い分け」・「教科書のおすすめ」6つの部分が紹介され、全面的に文法項目に対する理解を深めることができます。

文法練習の時知らない文型があった場合や文法知識を強化したいなどの場合おすすめです。ぜひ使ってみてください!

以上がN3対策の文法部分の紹介でした。他の回では、語彙、聴解、読解の対策を紹介しています。ぜひ合わせて活用してみてください。

次回: https://plaza.cme.osaka-u.ac.jp/2025/06/06/eesay21/ ‎

日本語能力試験N3対策 その1:語彙(全4回)

本コラムはワークショップで使用したふりがな付きスライドを基に書かれたものです。ワークショップでは、英語による補足もありましたが、JLPTのN3を受験する人が読む場合は難しい漢字もあります。AI翻訳などを使って読んでみてください。

こんにちは、日本語イベント担当のTAです。

毎年7月と12月にはJLPTの試験がありますが、受験対策は順調に進んでいますか?

このコラムでは、N3の受験に役立つ情報をシェアしたいと思います。日本語能力試験の公式サイトによると、N3レベルは「日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することができる」ことが求められています。

まずは、日本語能力試験の公式サイトで公式問題集を確認できますので、どのような問題が出題されるのかを確認し、それぞれの区分に応じた受験対策を立てましょう。

JLPTの試験は大きく分けて、文字・語彙、読解(文法)、聴解の三つのセクションに分かれています。文字・語彙のセクションでは、継続的な学習を通じて語彙力を向上させることが求められ、語彙力が向上すればスコアアップにもつながりやすくなります。そこで、まとまった時間がなくても、移動時間などの隙間時間を利用して学習できるような、語彙・漢字の学習に役立つ書籍とアプリを紹介します。

【本】

ミニストーリーで覚える JLPT日本語能力試験ベスト単語N3 合格2100 (単行本)(https://bookclub.japantimes.co.jp/jp/book/b592314.html)

(画像出典:https://bookclub.japantimes.co.jp/jp/book/b592314.html)

ジャパンタイムズ出版のウェブサイトでは無料で使える資料がたくさんあります。この本には以下の特徴があり、受験者自身の学習や試験対策に合わせて語彙の練習ができると思います。

単語がトピックごとに提示されている

複数の単語がよく出る組み合わせで紹介されている

音声がある

より効率よく必須の単語を覚えられるように工夫されている

この本ではN3に必要な単語を色々なトピックに分けて、短い文章や会話(ミニストーリー)を提供しています。また、問題テストも2種類ありまして、テキストを聞き取ってから空欄を埋める問題と、N3語彙試験と同じような模擬テストです。受験者自身の勉強と受験対策に合わせて語彙の練習ができると思います。

【アプリ】

JLPTの対策として、色々なアプリがあります。アプリストアで「JLPT」や「日本語能力試験」などのキーワードを入れて、検索してみてください。もちろんGoogleサイトなどの検索サイトで「JLPT アプリ」のようなキーワードで検索すればたくさんの紹介が出てくると思います。無料のものもあれば、有料のものがありますが、大体漢字・語彙・文法を基本内容としていますね。興味のあるアプリが見つけたら、ダウンロードして使ってみればいいと思います。

今回はTAがおすすめしたいアプリを、JLPT受験を目指す方に紹介します。これらのアプリには、以下のような特徴があります。

・無料と有料のものがある

・膨大な語彙を網羅する辞書アプリ

・自分のレベルに合わせて柔軟に利用できる

・単語リストや音声の聞き取り練習が可能なものがある

・ゲーム感覚で語彙力を向上できるものがある

・実際の試験問題に近い内容を提供するものがある

・単語と一緒に例文を簡単に確認できる

ぜひ、自分の学習スタイルに合ったアプリを見つけて活用してください!

1 Honki JLPT – Nihongo Study

(画像出典:https://www.japanictlearning.jp/service/apps)

特徴:

・N2からN4のコースがあり、自分のレベルに応じて柔軟に利用できます。

・意味チェックと聞き取り練習という2種類の練習があります。

このアプリはN2からN4のコースが選択できます。各レベルにおよそ20ユニットがあって、単語リストが整理されています。練習の部分も意味のチェックと音声の聞き取り練習の2種類があります。細切れな時間を活用するのに役立つアプリです。

さらに、この「Honki de Nihongo」には他のアプリもたくさんあって、よろしかったら下のリンクで各アプリの概要を参照して、ご自分の受験対策に適応できるものを選んでください。

https://www.japanictlearning.jp/service/apps

2 Langoal

特徴:

・ゲーム感覚で語彙力を高めます。

・イラスト付きで理解しやすいです。

(画像出典:https://langoal.com/blog/2021-07-29-app-release.html)

単語ゲームを主な機能としたアプリです。最も良いところは単語を説明するイラストがついている点だと思います。ゲーム感覚で遊びながら単語を覚えられます。

3 JLPT Vocabulary Dictionary

特徴:

・膨大な語彙を網羅する辞書アプリ

・単語と一緒に例文を簡単に確認できる

JLPT受験に必要な単語を大量に網羅する辞書アプリです。分からない単語がある時や、どのような例文でこの単語を使うべきか知りたい時などには役立つアプリだと思います。

いかがでしょうか?興味を持つ資料やアプリがありましたらぜひ活用してみてください!以上がN3対策 語彙部分の紹介でした。次回はJLPT(N3)試験の文法について受験対策を解説したいと思います!

次回:https://plaza.cme.osaka-u.ac.jp/2025/06/06/eesay20/ ‎

【募集中】JLPT(N3)を知ろう!ワークショップ

JLPT(日本語能力試験)のN3を受験しようと考えている方、初級レベルの日本語を学んだ人向けのワークショップです。

日時:2025年5月20日(火)、6月3日(火)、6月17日(木)、7月1日(火)昼休み(12:10-13:00)全4回
場所:豊中キャンパス OUマルチリンガルプラザ(サイバーメディアセンター4階)対面 / Zoom
申込: 前日までに申込フォームよりお申込みください
https://forms.gle/cAAjs131q2vMsw957

ポスターはこちら

2025SS_JLPT(N3)

春夏学期の会話練習

春夏学期の会話練習は以下の通り実施しています。お好きなトピックについて、1対1、もしくは友人おひとりプラスして、2対1で会話を楽しんでいただけます。1セッション20分で、ご希望により対面もしくはZoomにて実施します。時間、曜日は以下の通りです。

 時間: 12:00-12-20, 12:30-12:50, 13:00-13:20
 日本語: 火
 英語: 月・火・水・木
 中国語: 月
 韓国語: 水

お申し込み受付開始や、セッションの空き枠については、KOAN/阪大アプリの掲示板 (その他) もしくはLINEのオープンチャットでお知らせしています。

2025年春夏学期の開室日

春夏学期は4月7日 (月) より開室します。
開室曜日・時間、各種サポートの実施曜日は以下の通りです。

《豊中 ・D3センター(旧サイバーメディアセンター)4F》
開室曜日・時間: 月-金 10:00-15:00

会話練習 (4/14 (月) 以降より開始) (対面もしくはZoom): 12:00-12-20, 12:30-12:50, 13:00-13:20
 日本語: 火
 英語: 月・火・水・木
 中国語: 月
 韓国語: 水

多言語・多文化イベント: 月1回程度 月曜 12:15-13:15

日本語サロン: 火 10:30-11:30

日本語学習アドバイジング (対面もしくはZoom): 火 15:10-15:50、16:00-16:40

日本語チュータリング (Zoom): 月 13:00-13:30、14:15-14:45

《吹田 (OMPIC) ・ICホール2F》
開室曜日・時間: 金 10:00-13:30

OMPICサロン: 金 12:15-13:15

日本語学習者向け情報2025春夏

OUマルチリンガルプラザでは、日本語を学習している留学生や研究員を対象に春夏学期(4月10日~7月31日)以下のセッションを行っています。

(1)日本語学習アドバイジング(40分)
アドバイザーに1対1で計画・目標・教材などについて相談できます
日時 毎週火曜日 15:10~15:50、16:00~16:40
場所 OUマルチリンガルプラザ豊中 または Zoom
対象 日本語学習の相談がしたい方
*初めて日本語を学習する方から上級まで
申込 こちらから

(2)日本語会話練習(20分)
大学院生のパートナーと好きな話題で話す練習ができます
日時 毎週火曜日
12:00~12:20、12:30~12:50、 13:00~13:20
場所 OUマルチリンガルプラザ豊中 またはZoom
対象 日本語で話す練習がしたい方
申込 こちらから

(3)OMPICサロン(60分)
日本語学習に関するその日のトピックに合わせてグループで話したりアドバイザーに相談したりします
日時 豊中:毎週火曜日 10:30~11:30
吹田:毎週金曜日 12:15~13:15
場所 OUマルチリンガルプラザ豊中
OUマルチリンガルプラザ吹田
対象 その日のトピックに興味がある方
申込 こちらから

(4)日本語チュータリング(30分)
大学院生チューターからより良い文章を書くためのアドバイスを受けることができます
日時 毎週月曜日 13:00~13:30、14:15~14:45
場所 ZOOM
対象 日本語でレポートや論文を書いている方
申込 こちらから

ポスターはこちら

Essay: Cultural Nuances in Common Words: Understanding Differences Between English and Japanese

Learning a language goes beyond memorizing vocabulary or translating words mechanically. It involves understanding the cultural context and how words are used in everyday situations. This cultural learning often takes time and can be surprising, especially when words appear similar on the surface but carry distinct meanings or usages.

Take the word sumimasen (すみません) in Japanese, for example. When I first arrived in Japan from Italy, I understood it could mean “I’m sorry” or “Excuse me.” However, I couldn’t grasp why Japanese people used it so frequently to apologize, even in situations where it clearly wasn’t their fault.

In Italy—and many Western countries—apologies like “sorry” are used as a direct admission of responsibility. Saying “sorry” often implies that you, personally, made a mistake. It wouldn’t make sense to apologize unless you were at fault.

In Japan, however, sumimasen isn’t limited to acknowledging fault. I was mystified until a friend explained: Japanese people use sumimasen to acknowledge the feelings of others, even when they aren’t responsible. It’s a way to show empathy and smooth interpersonal interactions rather than admit guilt. Once I understood this cultural nuance, it made sense, and I started using sumimasen more naturally in daily conversations in Japanese.

However, I would advise Japanese learners of English to be cautious when using “sorry” with Westerners. It is not a direct translation of すみません. If you say “sorry” in situations where you’re not at fault, it might be misunderstood as an admission of responsibility—a significant cultural difference that could lead to confusion.

Other Words with Cultural Differences

Another fascinating example is the Japanese word yoroshiku (よろしく) and its phrase yoroshiku onegaishimasu (よろしくお願いします). In English, there’s no direct equivalent. On the surface, it might be translated as “Please take care of me” or “Thank you in advance,” but these translations fail to capture its full meaning.

Yoroshiku is often used to convey goodwill, gratitude, and a request for cooperation, all wrapped into one. For instance, when starting a new job or project, you might say yoroshiku onegaishimasu to express hope for a good working relationship. In English, you’d likely express this sentiment differently, using phrases like “I’m looking forward to working with you” or “Thank you for your support.”

As a result, English-speaking people who study Japanese often struggle to understand when and how to use yoroshiku, while Japanese speakers learning English often struggle to translate this term and fully convey its meaning. This tension highlights how certain expressions reflect deeply ingrained social customs, and how it is necessary to understand their cultural context in order to effectively communicate their meaning to speakers of different languages.

Bridging the Gap

Learning these nuances requires time, observation, and often direct explanations from native speakers. By recognizing the cultural meanings behind words like sumimasen and yoroshiku, language learners can avoid misunderstandings and communicate more effectively.

For Japanese learners of English, understanding when not to use “sorry” or how to express gratitude without yoroshiku is essential. Similarly, for English learners of Japanese, appreciating the social context of these words will enhance fluency and foster smoother interactions.

Language is as much about culture as it is about vocabulary. Embracing these cultural differences makes the learning process richer and more rewarding.

(By Martina Bottazo)

「私の春節」

 記憶の中にある春節は、いつも賑やかさに満ちている。小正月*を過ぎると、街は瞬く間に春節の雰囲気で包まれる。通りには赤い提灯や華やかな飾りが吊るされ、市場には年貨(年越し用品)を買い求める人々で賑わう。

 子供の頃、一番心待ちにしていたのは「年飯」だった。それは、親戚と賑やかに過ごせるからではなく、一年で最も豪華な料理が並ぶからだ。春節を前に、両親は親戚や友人をたくさん招いて、特別な宴を催していた。この春節前の集まりが、いわゆる「年飯」と呼ばれるものだった。食卓では、大人たちが一年を振り返り、嬉しい話題になると手振り身振りを交えて語り合っていた。その隣で、私はそっと大人たちが杯を交わす隙を見計らい、ご馳走をつまみ食いするのが常だった。春節が来るたびに少し太ってしまうのは、きっとこのせいだろう。

 「年飯」の時期が過ぎると、いよいよ春節本番だ。大晦日になると、両親に連れられて故郷に帰り、春聯*を貼ったり、「福」の字を飾ったりする準備に追われる。その中でも特に重要だったのが、すべての窓に「太公在此」と書かれた赤い紙を貼ることだ。父によれば、「太公」とは姜太公のことで、民間信仰では仙人として敬われているという。窓は鬼やお化けが侵入しやすい場所とされているため、そこに姜太公の名前を書いた赤い紙を貼ることで、鬼たちを遠ざけることができるのだそうだ。幼い私は鬼が大の苦手だったので、この作業にはいつも真剣に取り組んでいた。

 大晦日の夜は、家族全員で「春節聯歓晩会」*、略して「春晩」を観るのが恒例だった。子供だった私は、大人たちと一緒に見る春晩が大好きだった。特に面白いコントが放送されると、父がその台詞を真似て私を笑わせてくれたことをよく覚えている。しかし、時が経つにつれて春晩はつまらなくなり、大人たちも観るのをやめて麻雀をして過ごすようになった。春晩が面白くなくなると、子供たちも退屈そうにしていた。

 夜の12時の鐘が鳴り、春晩が終わる頃、本当の賑わいが始まる。新しい年の最初の時刻には、どの家でも用意していた爆竹を鳴らし、祝祭ムードが一気に高まる。裕福な家では花火も上げられ、その音があちこちから響き渡る。夜空に咲く鮮やかな花火の光景は、言葉では言い表せないほど美しい。

 新年の初日は早起きが欠かせない。「拜年」(新年の挨拶)をしなければならないからだ。村中を回って親戚や友人の家を訪ね、一軒一軒の扉を叩いて「新年快楽!(あけましておめでとうございます)」と笑顔で挨拶する。訪れた家では、温かく迎えられ、キャンディやヒマワリの種が振る舞われる。時には一緒に食事をするよう誘われるが、「まだ他の家にも挨拶しなければならないので、これで失礼します!」と言って次の家へ急ぐのだ。疲れることはあっても、たくさんのお菓子を食べ、「紅包」(お年玉)をもらえる楽しみがあり、次の家に行くのが待ち遠しかった。こうして美味しい料理と賑やかな新年の挨拶に包まれながら、春節の雰囲気が濃くなり、やがて静かに消えていく。

 2025年の今、村の春節の雰囲気は昔ほど濃厚ではなくなったように思える。都会に移り住んだ若者たちは、春節に帰ってくることが少なくなり、人口の減少とともに春節の活気も薄れてしまった。それでも、私の心の中で春節の記憶は今も色褪せることがない。それは賑やかで、美味しく、村の隅々にまで溶け込んでいたものなのだから。

李恒聡

注:
*小正月(小年) :年越し準備の日。日本のお正月準備や大掃除に似ている。
*春聯(春联) :赤い紙に縁起の良い詩句を書き、家の門の両側に飾るもの。
*春節聯歓晩会(春節联欢晚会) :紅白歌合戦のような、家族で楽しむ年越し番組。