日本語の学習を始めたのはまさに「偶然」といえます。それは私が高校卒業間際のことでした。当時の私は漢字や歴史について興味をもっていて、大学の専攻を中国語にしようと思っていました。しかし、両親や友達と相談したところ、「母語を勉強して卒業したら何ができるの?」と聞かれて、何も答えられませんでした。「それなら外国語にしよう」と思っていました。子供の時からかなり日本のアニメを見ていたので、日本語にも漢字があることだけは知っていました。そのような状況でしたが、外国語として日本語を学ぶことを選び、日本語に漢字がある以外に何も知らないまま、日本語学科に入りました。
はじめのころ、特に日本語に興味をもって勉強したわけではなかったので、勉強に全力を出していませんでした。そのまま2年生になって、学部2年の冬休み、自分の中でちょっとした変化がありました。その変化が何かというと、私は日本のドラマCDと宝塚歌劇団の歌劇に熱狂的にはまりました。ドラマCDとは、音声だけで楽しむドラマです。日本のドラマCDはまさに人類の宝物だと思いました。そして、女性で男役を演じる宝塚歌劇も新鮮でした。主人公の中の葛藤や愛に何度も感動させられました。非常に芸術的で素晴らしい作品なのに、日本語力不足のせいで理解できていないところがあって、とても悔しかったです。そこで、日本語をちゃんと勉強しようと決意しました。
そこで私はまずドラマCDを聴解の素材として扱い、主人公たちが話していることをとりあえず全部聞いて書くことにしました。外国人として日本語を聞くのに、日本語の単語や文法だけを覚えるのは足りないと思います。単語や文法をいっぱい暗記しても、相手が何を話しているのかわからないという経験は、外国人なら誰でも経験したことがあるのではないでしょうか。どれほど長い文でも1回聞いて、話の筋を把握するのが大事だと思います。この発想のもとで、聴解練習の時、文の途中で止めて考えるのをやめて、とりあえず最初から最後まで聞いていました。脳で覚えるより、耳になじませるのがいいと考えています。長い文でも最初の1回は止めずに聞いて、聞ける部分を書きます。そして、2回目と3回目も最初から最後まで聞いて、前回聞けていない部分を補充します。このように繰り返して、完璧に書けるまで何回も、何十回も聞きます。
2年生の夏休み、あるドラマCDを素材にして、最初から最後まで台本を聞いて書きました。そして夏学期が始まると、びっくりしたのは日本人の先生のいうことがほとんど全部聞き取れたことです。前は20%しかわからなかった先生の話が80%まで意味を理解できるようになっていました。そのあと、さらに日本語を上達させようと思い、ドラマCDだけではなく、日本のドラマ、NHKニュースの音声なども全部聴解練習の材料にしました。聞いて書き、そして書いた後、わからなかった単語と文法を細かく調べて暗記しました。材料が幅広いおかげで、いろいろな分野で使われる日本語が少しずつわかるようになりました。このような勉強の結果、日本語を話すとき、「これは聴解で聞いた表現だ」、「あれは暗記したことがあるからいえる」と感じるようになり、日本語を使うことに自信が持てるようになりました。この勉強法で日本語がだんだん上手になっていることに気づきました。
今回は、私のこれまでの日本語学習の振り返りから、リスニング力を上げる学習方法を紹介しました。ドラマCDと宝塚歌劇に心が打たれた気持ちを今でもはっきり覚えています。皆さんも日本語の勉強を自分の好きな素材からスタートしてみてはいかがですか。
孫聴雨