【アカデミック・スキル】日本語でメールを送る 第1回 (全4回)

こんにちは、OUマルチリンガルプラザTAの重久理奈です。

今回から4回にわたって、大学・研究生活でよくあるメール作成場面と表現を取り上げます。例えば、指導教員に相談事がある(第2回)、ゼミを欠席したい(第3回)、学会発表の要旨をチェックして欲しい(第4回)という想定で、そのまま使えるメールの文例を紹介していきます。
こうした、特にお願いする相手に負荷がかかる状況で、相手のことを考えどのような文面に整えればよいかは、案外ネイティブスピーカーでも迷うものです。本記事では次の3回の内容と、メールを送る相手に配慮するにあたって気にかけるべき点について、概要を述べます。本コラムが多くの人のお役に立てば幸いです。

よくある用件(=メールを送る目的)
大学で研究生活を送っていると、しばしば以下のような事態に直面します。

 ・アポイントメントの日程調整(指導教員や留学生チューターとの面談など)
 ・欠席・遅刻の連絡(授業・ゼミなど)
 ・文書の確認、または作成の依頼(研究計画書・発表要旨・推薦状など)

日時や場所などが重要となる案件、相手の都合を考慮しなければならない状況では、いつ何を伝え合ったかの記録を後から確認できるようにするのがよいでしょう。こうした場合は形に残らない口頭や短いチャットよりも、まとまった分量のある書面でやりとりした方が便利です。ぜひ、メールを活用してみてください。

気をつけること①: メールの書式
では、始めにメールを構成する基本事項を確認しましょう。何を書くとよいのかは、次の通りです。

 ・件名
 ・宛て名
 ・挨拶
 ・名乗り
 ・用件の提示
 ・本題
 ・挨拶
 ・署名

おおよそ、これらの項目が揃っているとメールを送る相手に、簡潔に用件が伝わります。

気をつけること②: 敬語・相手への配慮表現
続いて、他者を頼るような用件での情報伝達の場合、関係を損ねず円滑に進めるためには、どのように書けばよいのでしょうか。一般に日本語のメールで考慮した方がよいとされるのは、以下のような点です。

 ・立場の上下(メールの送り先は、先生・先輩・友達ですか?)
 ・面識の有無(メールの相手とは初対面ですか?)
 ・内容の軽重(相手の負担・負荷になる内容ですか?)

これら3つの要素は連動しています。まず、自分よりも社会的な立場が上の人にメールを出す場合は、いわゆる尊敬語(e.g. お~になる、~してくださる)・謙譲語(e.g. お~する、~していただく)・丁寧語(e.g. ~です/ます)といった敬語の使用が望ましいとされています。次に、その人が初めてメールを送る、特に親しくない人であれば、なおさら文面に工夫が必要です。一方、たとえ相手の立場が上であっても、顔見知りで交流がある人なら、ある程度は先に紹介した書式を省略しても問題ないケースもあります。最後に、どれほど気心が知れていても、負担を生じさせるような内容であれば相手の意思を尊重して伺う(e.g. ~していただけますか、ご検討くださると幸いです)、負荷の軽減のために相手の事情を考慮した一言を添える(e.g. お手数をおかけし、誠に申し訳ありませんが……)、等の対処が必要です。どれか1つの要素で判断がつくわけでも、表現に絶対的な組み合わせがあるわけでもありません。

先にやっておくとよい準備
一度、ぜひ自分が使っているメールソフト・アプリの署名の設定を確認してみましょう! 阪大アドレスのOutlookや、よく使われているGmail等でも署名を登録しておくことができます。

次回からは個別の場面に沿って、具体的なメールの文例を見ていきます。次回は「アポイントメントのお願い」です。