ディクテーションとシャドーイングを組み合わせた効率的な言語学習

 皆さんは外国語を学ぶ時、話すのが恥ずかしい、ミスをするのが怖い、文法と発音の問題で笑われるのが嫌い、などと思うことがありますか。言語学習の初期段階ではこのように思うことがよくあると思いますが、この段階での、「通じればOK」という考えは学習者に勇気が与えられるので、有効であると言えます。しかしながら、段々レベルアップしていくと、例えば、日本語歴6年半の私にとっては、通じるだけでは不十分で、できる限りネイティブに近づけるように努力していきたいと考えるようになりました。
 ご存じの通り、ネイティブに近づけるには、「リスニング能力」と「スピーキング能力」が必要です。ここで、リスニング練習とスピーキング練習に効果的なディクテーションとシャドーイングを組み合わせた効率的な言語学習法を皆さんにシェアしたいと思います。

ディクテーションとシャドーイングとは?
 ディクテーションとは、読み上げられる音声を書き取ることです。
 シャドーイングについて、玉井(1997)の定義を引用します。シャドーイングとは、「聞こえてくるスピーチに対してほぼ同時にあるいは一定の間をおいてそのスピーチと同じ発話を口頭で再生する行為、又は聴解訓練法です」(玉井1997)。シャドーイングは本来同時通訳養成の訓練で使われている基礎訓練法の一つですが、「聴く」と「喋る」が同時に鍛えられる語学勉強法としてもよく知られています。

リスニングの強化、スピーキングの強化、語彙力強化
 次は、このディクテーションとシャドーイングを組み合わせた学習法の具体的な効果、リスニングの強化、スピーキングの強化、語彙力強化をご紹介します。
 繰り返し聴く、繰り返し喋る、また聴きながら喋るという作業も何度も繰り返されるので、自分の耳、口、舌が徐々に慣れてきます。このように、口の開き方や舌の位置を実際に発音したときの感覚で・理解・記憶するようになります。
 語彙力の強化ですが、シャドーイングすることによって、個々の単語レベルではなく、フレーズ、文レベルの表現が記憶に残ります。例えば、「大学進学を希望するまで意欲を取り戻したAが学習習慣を身につけていく土台となったのが、生活習慣の確立です。」という文ですが、意欲、取り戻す、習慣、身につける、土台という個々の単語ではなくて、意欲を取り戻す、習慣を身につける、土台となったのは…ですのような使い方をひとまりで身につけることができます。

ディクテーション・シャドーイングの手順
 私はシャドーイングにディクテーションを合わせた方法を使っています。ではこの学習法の具体的な手順をご紹介します。
1. 動画選定(ニュース、ドキュメンタリー、ドラマ、アニメ、バラエティー番組など、モチベーションをアップできるような動画ならなんでも良い)
2. ディクテーションする。(オリジナルの再生速度での音声を聞きながらディクテーションする。このステップにはある程度時間がかかります。慣れてきたら、動画内の全部の内容ではなく、自分がうまく使えない表現だけをディクテーションするのがより効率的!)
3. メモを取る。(聞き取りにくい部分、気になるところを箇条書きにする。表現の意味がわからないままシャドーイングするのはNG)
4. 本番 ▶ シャドーイング。(モデルのイントネーション、アクセントを意識しながら、シャドーイングする。*録音することが大事。第三者の立場で、自分の声を客観的に聴くことを通して、自分の長所と短所がすぐわかり、より良い発音へと向上させることができる。)
 ・一段階:テキストを見ながら繰り返しシャドーイングする。
 ・二段階:テキストを見ずに繰り返しシャドーイングする。

 言語学習というのは長い長い道のりで終点がありません。ただ、毎日、毎週積み重ねていくとすごいことになります。ぜひ自分の目標言語を対象にして、実践して、一緒に言語能力を上げていきましょう!

参考文献:
玉井健(1997)「シャドーイングの効果と聴解プロセスにおける位置づけ」.『時事英語学研究』(105-116)

(蘇暁笛)

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