大学2年生の秋から3年生の夏にかけて、学部のプログラムの一環により、中国の北京大学に留学した。留学そのものに対して大きな期待を膨らませており、不安は一切なかった。今まで学んできた中国語がどれほど通じるのか、早く試してみたい気持ちでいっぱいだったからだ(これまでの中国語学習についてはこちら)。中国での言語学習を振り返ると、大きく2つに分けることができる。一つは、教室内での学びであり、もう一つは教室外での学びである。日本での環境と異なり、インプットされる言語が全て中国語だったため、全ての活動が言語習得につながったといえる。今回のコラムでは、一つ目の教室内の学びについて主に授業内容と言語能力評価について紹介することにする。
私が留学した北京大学には、「对外汉语学院(対外漢語学院)」と呼ばれる留学生のためのコースが設けられている。全世界から中国語を学びたいと思う学生が集まり、授業はレベル別に実施される。そこでは、読解や会話(リスニング)などの必須科目と選択科目を選ぶ必要があった。必須科目であった会話の授業では、主にディスカッションやディベートが行われ、その他パワーポイントを使いながら口頭発表をする機会もあった。また、映画やドラマのセリフを暗記し、2人ペアで演技をするという課題も与えられた。会話の授業は、日常的な語彙を身に付け、実践に移すことを手助けしてくれる場であったと考える。アウトプットが非常に多く、新出単語が徐々に自分の単語になるのを感じることのできた授業であった。
選択科目の中で私が最も印象に残っているのは、「古代汉语(古代漢語)」の授業である。中学・高校の頃に漢文の授業を受けていたことから、馴染みのある授業だといえるが、漢字の読み方や意味に多々躓いた。また、時代背景を理解していないと、漢文の内容も理解できないことが多く、この授業は私が受講した授業の中で最も難易度が高かったといえる。予習に時間をかけたり、2人1室で一緒に寮生活をしていた中国人ルームメイトにどういう意味か聞いたりしながら、やっとのことで授業内容についていくことができた。
留学前の私の中国語は、簡単な聞き取りができて、やりとりができる程度だった。作文の授業で中国語を書くこともあったが、それらはごく簡単なものに過ぎなかった(CEFRのB1レベル )。留学を経て、私の中国語は、「聞く・読む・話す・書く」の4技能とも上達した。その中で最も成長したのは話すことであり、その次は書くことだと感じている。話すことにおいては、簡単な会話以外にも、出来事や本の内容なども説明できるようになった。また、パワーポイントを使いながら人前で発表するプレゼン力も身についた。書くことにおいては、私が使える語彙力が増えたことから、単文ではなく複文で、文と文の繋ぎもよりスムーズに書けるようになったと思う(CEFRのC1レベル )。
日本で中国語を学んでいた頃は、会話の授業を除き、基本的には日本語で説明が行われていた。しかし、留学中は、どの授業も全て中国語で進行され、新しい学習内容を中国語できちんと理解する力も身についたと感じる。これまで、教室内での学びを授業内容と言語能力評価を中心に述べてきたが、留学は教室外での学びも非常に重要であり、次回のコラムでは、教室外での学びについて詳しく述べることにする。
参考資料
「CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)」
(太田真実)